第3章 拡張機能エコシステム ── 1,500+の接続点
拡張機能の設計思想
Raycastの拡張機能は「オープンソース・React・TypeScript」で作られている。
この設計選択は意図的だ。Webエンジニアが慣れた技術スタックで拡張機能を書ける。npx create-raycast-extension コマンドで雛形を生成し、Reactコンポーネントを書くだけで、RaycastのUIに統合されたコマンドが完成する。
import { ActionPanel, Action, List } from "@raycast/api";
export default function Command() {
return (
<List>
<List.Item
title="Hello World"
actions={
<ActionPanel>
<Action.OpenInBrowser url="https://raycast.com" />
</ActionPanel>
}
/>
</List>
);
}
この単純さが1,500+という拡張機能数を生んだ。「自分のツールのRaycast拡張がない → 自分で2日で作れる」という世界観だ。
ダウンロード数ランキング(2025年末時点)
| 順位 | 拡張機能 | ダウンロード数 | カテゴリ |
|---|---|---|---|
| 1 | Kill Process | 415,331 | システム |
| 2 | Color Picker | 301,929 | デザイン |
| 3 | Google Translate | 294,291 | 生産性 |
| 4 | Google Chrome | 292,070 | ブラウザ |
| 5 | Spotify Player | 286,119 | メディア |
| 6 | Visual Studio Code | 236,446 | 開発 |
| 7 | Slack | 189,554 | コミュニケーション |
| 8 | Brew | 195,264 | 開発 |
| 9 | Linear | 188,653 | プロジェクト管理 |
| 10 | Notion | 172,233 | 生産性 |
「Kill Process」が1位という事実は示唆的だ。開発者が日常的に直面する「ポートが使用中」「プロセスがフリーズ」問題を解決するコマンドが最も使われている。
カテゴリ別の注目拡張機能
開発ツール
Visual Studio Code(236K)
→ ワークスペースの検索・開封
→ 最近のファイルに即アクセス
Brew(195K)
→ パッケージのインストール・アンインストール
→ brew search / brew info をRaycastから
GitHub(124K)
→ PRのレビューリスト表示
→ Issueの作成・検索
→ リポジトリへの素早いナビゲーション
Port Manager(34K)
→ 使用中のポートを一覧表示
→ 特定ポートのプロセスをkill
プロジェクト管理
Linear(188K)
→ 割り当てられたIssueを一覧表示
→ 新規Issue作成
→ プロジェクトステータスの確認
Notion(172K)
→ ページの検索・作成・更新
→ データベースへの素早いアクセス
Jira(70K)
→ チケットの検索・ステータス更新
→ スプリントの確認
コミュニケーション
Slack(189K)
→ チャンネル・DMの検索
→ ステータス変更(MTG中・集中タイム等)
→ スニペット送信
Google Meet(23K)
→ 予定されている会議への即参加
→ 会議URLのコピー
デザイン
Color Picker(301K)
→ 画面上の色を取得(HEX・RGB・HSL形式)
→ クリップボードに即コピー
Figma(60K)
→ ファイルの検索・開封
→ チームプロジェクトへのナビゲーション
システム・開発インフラ
Vercel(55K)
→ デプロイ状況の確認
→ 本番/プレビューURLへのアクセス
Docker(45K)
→ コンテナの起動・停止
→ イメージの管理
AWS(30K)
→ S3バケット操作
→ EC2インスタンス管理
拡張機能の選び方
graph TD
A[使いたい機能がある] --> B{公式ストアで探す}
B -->|ある| C[ダウンロード数・レビューを確認]
B -->|ない| D{似た拡張機能はあるか}
C --> E[インストールして試す]
D -->|ある| E
D -->|ない| F[自分で作るか検討]
E --> G{定期的に使っているか}
G -->|YES| H[キーボードショートカットを設定]
G -->|NO| I[アンインストール]
F --> J[npx create-raycast-extension]
インストールしすぎに注意:あるユーザーは「20個インストールしたが、実際に使っているのは半分程度」と述べている。使っていない拡張機能はアンインストールしてRaycastのコマンド空間をクリーンに保つべきだ。
拡張機能の開発
Raycastの拡張機能開発はWebエンジニアのスキルで完結する。
必要な知識:
- React(コンポーネントの基礎)
- TypeScript(型安全なコード)
- Raycast API(提供するUIコンポーネント)
開発開始:
# 雛形の生成
npx create-raycast-extension@latest
# 開発サーバー起動
cd my-extension && npm run dev
# → Raycastがホットリロードで反映
公開:GitHubにPRを送ると、コードレビューを経て公式ストアに掲載される。
Raycastのオープンソースポリシーにより、すべての拡張機能のコードは公開されている。「他の拡張機能のコードを読んで学ぶ」という学習パスが機能している。
チームでの拡張機能活用
Teamsプランでは、チーム専用の拡張機能を作成し、メンバー間で共有できる。
チーム共有が特に効果的なケース
社内ツール連携
→ 社内JiraのURLパターン + 専用フィールドに対応した拡張機能
→ 社外公開不要・プライベートリポジトリのまま使える
オンボーディング
→ 「このチームが使うRaycastのクイックリンク・スニペット・コマンド」セット
→ 新メンバーがインポートするだけで即日戦力
共通ワークフロー
→ 全員が同じデプロイ手順をRaycastコマンドとして持つ
→ 「どうやってstaging deployするんだっけ」がなくなる