第2章 コア機能 ── ランチャーを超えたユーティリティスイート
Raycastが置き換えるもの
Raycastをインストールすると、多くのユーザーが「これは別のアプリが不要になった」という体験をする。
Raycastが置き換えるアプリ
Spotlight → アプリ起動・ファイル検索
Magnet / Rectangle → ウィンドウ管理
Paste / Clipboard → クリップボード履歴
1Passwordの一部 → パスワード検索・入力
Alfred → カスタムワークフロー
Amphetamine → スリープ防止(Confetti機能)
いくつかのメニューバーアプリ → システム状態確認
有料アプリへの月額費用(合計で$10〜20)をRaycast Pro($8/月)以下で代替できるケースが多い。
コア機能1:アプリ・ファイル起動
最も基本的な機能。⌥ Space でRaycastを開き、アプリ名や略称を入力して起動する。
Spotlightとの違いは「学習する」点だ。使うほどによく使うアプリが上位に表示される。「vs」と入力したら「Visual Studio Code」が出てくる、という状態が作れる。
ファイル検索の特徴:
Find Fileコマンドでファイル名検索- フォルダの中身を階層表示
- プレビューパネルで内容確認
注意:フォルダ検索はSpotlightより若干弱い。完全一致でないと出てこないケースがある。これはRaycastの既知の弱点だ。
コア機能2:クリップボード履歴
Clipboard History コマンドで過去にコピーしたテキスト・画像・ファイルを検索・再利用できる。
クリップボード履歴の実用パターン
・コードスニペットのコピペ(同じAPIキーを何度も使う)
・会議URLのコピー(SlackからZoomに貼り付け)
・複数の入力フィールドへの連続貼り付け
・スクリーンショットの再利用
Pro版では無制限(Free版は3ヶ月)。テキスト・画像・ファイルパスすべて保存される。
あるユーザーの2025年データによると、クリップボード履歴を162日間で398回使用(1日平均2.5回)。「意識せずに使っている」という感覚が典型的だ。
コア機能3:スニペット
よく使うテキストに短縮コードを割り当てる。メールの定型文・コードテンプレート・URLなど。
スニペットの例
!sig → 署名テキスト全体
!mtg → 定例MTGのZoom URL
!lgtm → "Looks Good To Me 👍"
!today → 今日の日付(動的生成)
!addr → 会社住所
! から始まる略称でどのアプリ内でも展開される。入力フォームで !sig と打てば、ブラウザ・メールクライアント・Slackなどどこでも展開する。
チームでの活用:Teamsプランでは、スニペットをチームで共有できる。全員が同じ定型文を使う、という運用が可能。
コア機能4:ウィンドウ管理
主要なウィンドウ管理コマンド
Left Half → ウィンドウを左半分に
Right Half → ウィンドウを右半分に
Top Half / Bottom Half → 上下分割
Maximize → フルスクリーン(メニューバー保持)
Center → 中央に配置
First Third / Last Third → 3分割
Magnet($4.99)・Rectangle(無料/Pro)と同等の機能をRaycastが内包する。MagnetやRectangleをアンインストールしてRaycastのウィンドウ管理に移行するユーザーが多い。
各コマンドにグローバルショートカットを割り当てられるため、Raycastを開かずに ⌃⌥← でウィンドウを左半分にする、という設定も可能。
コア機能5:クイックリンク
URLや検索クエリに名前をつけて素早くアクセスする。
クイックリンクの例
production-db → https://your-dashboard.com/db/prod
staging → https://staging.yourapp.com
gh-prs → https://github.com/pulls?q=is:open+is:pr+author:@me
linear-todo → https://linear.app/team/cycle/active
figma-design → https://figma.com/files/...
プロジェクトごとに複数のクイックリンクをまとめると、「今日は○○プロジェクト」という切り替えが高速化する。
チームでの活用:ステージング環境URL・モニタリングダッシュボード・社内ドキュメントへのリンクをチームで共有する。新メンバーのオンボーディング時に「このRaycastのクイックリンクセットを使ってください」という渡し方ができる。
コア機能6:スクリプトランナー
独自のシェルスクリプト・Pythonスクリプト・RubyスクリプトをRaycastのコマンドとして登録できる。
#!/bin/bash
# Required parameters:
# @raycast.schemaVersion 1
# @raycast.title Start Dev Server
# @raycast.mode silent
# Optional parameters:
# @raycast.icon 🚀
cd ~/projects/myapp && npm run dev
スクリプトのヘッダーにRaycastのメタデータを記述するだけで、コマンドとして登録される。
実用例:
Start Dev Server→ プロジェクトの開発サーバーを起動Kill Port 3000→ 指定ポートのプロセスをkillDeploy to Staging→ stagingへのデプロイスクリプトを実行Daily Standup→ スタンドアップ用のテンプレートをクリップボードにコピー
コア機能7:浮動ノート(Floating Notes)
常に最前面に表示されるメモウィンドウ。会議中のメモ・一時的なメモに使う。
Macの標準「付箋」アプリとの違いは「Raycastのコマンドからすぐに開ける」点だ。⌘ ⌥ N などのホットキーで即座に開く。
機能マップ
mindmap
root((Raycast))
起動・検索
アプリ起動
ファイル検索
コマンド検索
生産性ツール
クリップボード履歴
スニペット
浮動ノート
システム制御
ウィンドウ管理
スクリプトランナー
システム設定
ナビゲーション
クイックリンク
ブックマーク
AI
Quick AI
AI Chat
AI Commands
AI Extensions
外部連携
拡張機能(1,500+)
Free vs Pro の境界線
| 機能 | Free | Pro |
|---|---|---|
| アプリ・ファイル起動 | ✅ | ✅ |
| 拡張機能(全て) | ✅ | ✅ |
| クリップボード履歴 | ✅(3ヶ月) | ✅(無制限) |
| スニペット | ✅ | ✅ |
| ウィンドウ管理 | ✅(基本) | ✅(カスタム) |
| AI Chat / AI Commands | ✅(50回/月) | ✅(無制限) |
| クラウド同期 | ❌ | ✅ |
| カスタムテーマ | ❌ | ✅ |
| Translator | ❌ | ✅ |
重要:Freeでも拡張機能は全てインストール・使用できる。「AIを大量に使わない」ユーザーならFreeで十分というケースが多い。