プロローグ ── 「とりあえず作ってもらった」の限界
こんな状況に心当たりはないか
「Claude Codeでチャットしながら実装してもらったら、思ってたのと全然違うものができた」
「Cursorで半日かけて作ってもらったコンポーネント、要件をよく読んだら実は不要な機能が半分あった」
「AIに書かせたコードをレビューしたら、認証まわりの設計が自分のチームのルールと全く違う方針で実装されてた」
「最初の1機能はすごくうまくいったのに、3つ目の機能あたりからコードが複雑に絡み合って、AIも自分も何を直していいかわからなくなった」
これらは「AIが下手なのではない」。AIに伝えるべきことを伝えていなかっただけだ。
本書のゴール
この本を読み終えると、次のことができるようになる:
- AIに実装させる前に「何を作るか」を機械が読める形で記述できるようになる
- 仕様から自動的にテストが生まれ、テストをパスするコードをAIが生成するサイクルを回せるようになる
- チームで仕様を共有し、エンジニア・PMが同じ言葉で議論できる開発プロセスを設計できるようになる
一言でいえば、「AIに指示する技術」から「AIと協働する設計技術」への転換を体験できる。
対象読者
- AI駆動開発(Claude Code・Cursor・GitHub Copilot等)を日常的に使っているエンジニア
- プロトタイプは作れるが、本番品質への壁を感じているAIネイティブ開発者
- チームへのAI開発導入を検討しているテックリード・エンジニアリングマネージャー
- TDDやBDDを知っているが、AI時代における位置づけに迷っている開発者
前提知識:任意のAIコーディングツールを使ったことがあること。特定の言語・フレームワークの知識は不要。
本書の構成
仕様駆動開発とは何か(概念)
↓
なぜ今なのか(背景)
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ツールとエコシステム(選択肢)
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SPEC.mdの書き方(実践)
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ワークフロー(手を動かす)
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アンチパターン(失敗の回避)
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チーム導入(スケール)
VibeからSpecへ
2024〜2025年、「Vibe Coding」という言葉が広まった。AIに対して雰囲気(Vibe)を伝えると、それっぽいコードを生成してくれる。個人のプロトタイプや、試してみたいアイデアの検証には絶大な効果を発揮した。
しかし2026年、多くのチームが同じ壁に直面している。
**「Vibe Codingのスケール問題」**だ。
コードベースが大きくなるにつれ、AIは「どこから来たどんなコードか」のコンテキストを失う。指示が曖昧なほど、AIの判断は発散する。1人なら目をつぶれても、チームになった瞬間に一貫性は崩壊する。
その解答として再発見されたのが**仕様駆動開発(Specification-Driven Development、SDD)**だ。
新しい概念ではない。しかし、AIがコードを書く時代においてその意味は根本から変わった。
次の章では、SDDとは何か、Vibe Codingやかつてのウォーターフォール開発とどう違うのかを整理する。